おたくのテクノ

ピアノ男(notピアノ弾き)のブログ

タッチパネル

先月ぐらいに家族と食事した時に、父が確かこのような話をしていた。

 

近所の総合病院も色々新しくなって、受付もタッチパネルによるシステムが導入された。ところが、患者の多くは田舎のジジババばかりである。ジジババにタッチパネルは難しいので、かえって受付の行列が以前より酷いことになっている。

 

いちおうIT職に従事する者としては、大変身につまされる話である。何でもかんでも無神経に情報端末を導入すれば良いわけではないという典型例で、こんな事はどんな地域や業界でもあるあるの話なんだろう。

年をとってくると耄碌してきて物覚えも悪くなるし、老人は皮膚が乾燥しやすいために昨今主流の静電容量方式タッチパネルだと物理的に操作も難しくなってくるのだ。かわいそうな話である。

老人ほどではないものの、自分もタッチパネル操作の精度が落ちてきた。ネイルをしていて爪が長いからである。四隅の小さいボタンが特に辛い。

 

受付にタッチパネル用いた自動受付システムを導入することのメリットは、物理ボタンと違ってUIのアップデート等が比較的容易である、客(患者)の情報管理を効率的にやれる、といったところか。前者はただただ提供側の都合でしかない。後者はそうすることで管理に必要な時間が圧縮されて客に充てる時間がより増やせる、という理屈は考えられるが、残念ながら成立しなかったようだ。木を見て森を見ず。本当に大切なのは何なのかちゃんと見えるようになりましょう、という教訓。

 

DSがリリースされた頃の鮮烈な輝きは一切消え失せて、タッチパネルは正直なところもうテンションが上がらない、なんなら下がるデバイスだと思う。そう思っている人、老若男女問わず実は結構いるのでは?

とはいえこんな事を思えるのはタッチディスプレイが枯れてきた技術だからで、無かったら無かったで困る事も意外と多いのだろう……。こんな事を言いながら大学時代の自分の研究はタッチディスプレイに関する研究だったし、不本意にも今はスマートフォンアプリの受託開発に従事しておまんまを食わしてもらっている……。早くこの呪縛から逃れたいものだ。

 

本当に嫌な趣味で自分でも嫌な気持ちになるのだが、今度はchatGPTなどといったいい意味でも悪い意味でも盛り上がってるAIでも同じ気持ちになりたい。つきましてはデベロッパーの皆様は色々な実験をしてどんどん失敗をしてほしい。自分も何か思いついたら10年後ぐらいにやろうと思う。